第1回：もしかして、それ「膝痛」かも？-40代・50代女性が知っておくべき膝のサイン
「階段を上り下りする時に、膝に違和感があるな…」 「朝起きた時、膝がこわばって動かしにくい…」 「長時間歩くと、膝の奥がだるくて重くなる…」
40～60代の女性の皆様。 そんなささいな膝のサインを「年のせいかな」「疲れているだけだろう」と見過ごしていませんか？
その違和感、実は「変形性膝関節症」の初期サインかもしれません。
変形性膝関節症は、その名の通り、膝の関節が徐々に変形していく病気です。初期の症状は軽いため、多くの人が「そのうち治るだろう」と放置してしまいがちですが、それが症状を悪化させる大きな原因となります。
なぜ、40代・50代女性に膝痛が多いのか？-見過ごされがちな身体のターニングポイント
変形性膝関節症は、男女比で圧倒的に女性に多く見られます。その背景には、いくつかの身体的・生理的な要因が複雑に絡み合っています。
まず、女性は男性に比べて筋力が弱く、特に膝を支える太ももの筋肉（大腿四頭筋）や、お尻の筋肉（大殿筋、中殿筋）が衰えやすい傾向にあります。これらの筋肉は、膝にかかる体重の負担を分散させる重要な役割を担っているため、筋力が低下すると膝関節への負担がダイレクトにかかってしまいます。
次に、更年期の影響です。40代後半から50代にかけて、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が急激に減少します。エストロゲンは、骨や軟骨の新陳代謝を促す働きを持つため、この減少が膝関節の軟骨をすり減りやすくし、炎症を引き起こす一因となると考えられています。
さらに、O脚（内反膝）の女性が多いことも挙げられます。O脚は、歩行時に膝の内側に過度な負担をかけるため、軟骨のすり減りを加速させます。多くの女性は、若い頃からのヒールを履く習慣や、猫背などの不良姿勢によって、骨盤や股関節にゆがみを抱えていることが多く、それが膝への負担を増大させているのです。
放置しないで！見過ごされがちな膝痛の初期サイン
「軽い痛みだし、休めば治る」 「まだ大したことないから大丈夫」
そう思って膝の痛みを放置していませんか？ 実は、変形性膝関節症の初期サインは、以下のような形で現れることがほとんどです。
【チェックリスト：もし1つでも当てはまったら要注意！】
- 歩き始めや立ち上がる時に、膝に違和感や軽い痛みを感じる
- 階段の上り下りで、膝に痛みや不安感がある
- 長時間座っていた後、立ち上がる時に膝がこわばって動き出しにくい
- 膝を完全に伸ばしたり、曲げたりすることが難しくなってきた
- 雨の日や寒い日に、膝がうずいたり、痛んだりする
これらのサインに気づいても、適切なケアをせずに放置してしまうと、症状は確実に進行していきます。痛みをごまかすために不自然な姿勢で歩くようになり、それがさらに膝への負担を増大させる悪循環に陥ってしまうのです。
痛みや違和感があるにもかかわらず、無理をして家事を続けたり、無理な運動を続けたりすることで、膝関節の軟骨はさらに摩耗し、やがて関節の変形へとつながってしまいます。
「年のせい」とあきらめないで、専門家にご相談ください
変形性膝関節症は進行性の病気ですが、早期に適切なケアを始めることで、進行を遅らせ、痛みのない生活を送ることは十分に可能です。
当院は、神戸市東灘区御影で多くの患者様の膝痛と向き合ってきました。 「もう歳だから仕方ない」とあきらめる必要は全くありません。むしろ、年齢を重ねた今だからこそ、ご自身の身体と向き合い、適切なケアを選択することが、これからの人生を豊かにするためのカギとなります。
初期の段階であれば、手術に頼ることなく、保存療法によって痛みをコントロールし、身体の機能を改善することができます。しかし、そのためには「もしかして」という小さなサインを見逃さず、私たちのような専門家にご相談いただくことが最も重要です。
膝痛の真の原因は、膝だけにあるとは限りません。股関節、骨盤、足首、さらには全身のバランスのゆがみが膝に負担をかけていることがほとんどです。当院では、膝だけでなく、全身をトータルで評価し、根本原因にアプローチする施術を行っています。
このブログを通して、皆様がご自身の膝と向き合い、未来への希望を見出していただけることを願っています。
次回予告： 第2回では、膝関節の痛みがどこから来るのか、そのメカニズムについて、さらに詳しく解説します。軟骨や半月板、筋肉の関係性について、一緒に学んでいきましょう。
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