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第8回 【回復期と予防】再発を防ぎ、しなやかな肩を作るための筋力トレーニング

痛みと拘縮の改善後が勝負!インナーマッスルを鍛え直す

長期間にわたる急性期の激しい痛みと、慢性期の根気強いリハビリを乗り越え、あなたの四十肩は「回復期(かいふくき)」へと入っています。

この時期は、関節の痛みや可動域の制限が大幅に改善し、日常生活の動作がほぼ支障なく行えるようになってきます。しかし、ここで「もう治った」と油断するのは禁物です。

四十肩によって肩を動かさない期間が長かったため、肩周りの筋肉は弱まり、関節の安定性が低下しています。この状態のままでは、再発のリスクや、他の関節への負担が増大してしまいます。

回復期に最も重要なのは、「肩関節を安定させるための筋力トレーニング」を行い、再発を防ぐ、しなやかで強い肩を作り上げることです。

今回は、回復期に始めるべき筋力トレーニングの重要性と、具体的なトレーニング方法を解説します。

1. 筋力トレーニングが重要な3つの理由

回復期に筋力トレーニングを行う目的は、失われた筋力を単に戻すことだけではありません。

理由①:関節の安定性を回復させる

四十肩で最も弱まりやすいのが、肩関節の深層にある「インナーマッスル(回旋筋腱板)」です。インナーマッスルは、大きな動作を生み出すアウターマッスルと異なり、上腕骨を肩甲骨に引きつけ、関節を安定させる役割を担っています。この安定性を取り戻すことで、肩への不必要な負担が減り、痛みの再発を防げます。

理由②:運動の質(パフォーマンス)を向上させる

筋力が回復すると、動作がスムーズになり、疲れにくくなります。これにより、着替えや物を持ち上げる動作が楽になるだけでなく、スポーツや趣味など、より活動的な生活を再開するための土台が築かれます。

理由③:姿勢の改善

肩周りの筋肉がバランス良く働くことで、巻き肩や猫背といった不良姿勢の改善にもつながります。これは、肩だけでなく、首や背中の凝りの予防にも役立ちます。

2. 回復期のトレーニングの原則

筋力トレーニングを開始する際は、必ず以下の原則を守りましょう。

  1. 痛みのない範囲で: 少しでも鋭い痛みや違和感がある場合は、その運動は避けるか、負荷を極端に下げてください。リハビリとは異なり、トレーニング中は無痛が原則です。

  2. インナーマッスルから: 最初は関節の安定性を高めるインナーマッスル(回旋筋腱板)を優先して鍛えます。

  3. 低負荷・高回数: 重いダンベルなどは使わず、ゴムチューブや軽い抵抗を使って、ゆっくりとコントロールしながら何度も繰り返す方法(低負荷・高回数)で行います。

3. 再発予防のための具体的なトレーニング

ここでは、インナーマッスルに効果的なトレーニングを3種類ご紹介します。

① 肩の安定化:チューブを使った「外旋運動」

肩関節を外側に回す動き(外旋)は、インナーマッスルを鍛える最も効果的な方法です。

  1. 準備: ゴムチューブをドアノブなどに固定し、チューブの端を痛い方の手で握ります。

  2. 姿勢: 腕を体側にぴったりつけ、**肘を90度に曲げます。**肘と前腕は常に床と並行を保ちます。

  3. 方法: 脇を開けずに、チューブの抵抗に逆らいながら、ゆっくりと前腕を外側へ倒すように回します。

  4. ポイント: 腕を回しきったところで1〜2秒キープし、負荷を感じながらゆっくりと元の位置に戻します。

  5. 回数: 10回〜15回を1セットとし、2〜3セット行います。

② 姿勢の改善:「肩甲骨寄せ」トレーニング

肩甲骨周りの筋肉を強化し、正しい姿勢をサポートします。

  1. 準備: ゴムチューブを両手で持ち、肘を少し曲げた状態で体の前方に構えます。

  2. 方法: 肩甲骨を背中の中心に「寄せる」意識で、チューブを左右に引っ張り、腕を広げます。

  3. ポイント: 腕の力で引っ張るのではなく、肩甲骨の動きを意識することが重要です。肩をすくませないように注意します。

  4. 回数: 10回〜15回を2〜3セット。

③ 腕の安定化:「内旋運動」

外旋運動と対になる内旋運動も、バランスよく鍛えることで安定性が増します。

  1. 準備: ゴムチューブをドアノブなどに固定し、チューブの端を痛い方の手で握ります。チューブが体から離れるように引っ張られる位置に立ちます。

  2. 姿勢: 腕を体側にぴったりつけ、肘を90度に曲げます。

  3. 方法: チューブの抵抗に逆らいながら、ゆっくりと前腕を内側(お腹側)に回します。

  4. 回数: 外旋運動と同じく、10回〜15回を2〜3セット。

4. 日常生活への移行(予防としての習慣化)

筋力トレーニングは、四十肩の症状が治まった後の予防策として習慣化することが大切です。

  • 姿勢の意識: デスクワークや立ち仕事の最中、定期的に肩甲骨を寄せる意識を持ち、正しい姿勢を保ちましょう。

  • ストレッチの継続: 毎日の柔軟性維持のため、第6回で紹介したストレッチは、トレーニング後だけでなく、入浴後などに継続してください。

  • 適度な運動: ウォーキングや水泳など、肩に過度な負担をかけない全身運動を取り入れ、血行を良くしましょう。

回復期は、治療の「仕上げ」の段階です。この期間にしっかりと肩の土台を再構築することで、四十肩とは完全に決別し、安心した生活を送ることができます。

 

※ご相談はこちらからお気軽になさってください。

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