第10回:側弯症と共に年齢を重ねるということ。将来の変形を防ぎ、一生歩ける体へ
はじめに:この「個性」と、一生付き合っていくあなたへ
全10回にわたるブログをここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。 ここでお伝えしたかった最大のメッセージは、「側弯症=不幸」ではないということです。
確かに、真っ直ぐな背骨の人に比べれば、肩は凝りやすいし、ケアの手間もかかります。 しかし、だからといってあなたが「痛みに耐え続ける人生」を送らなければならない理由にはなりません。
最終回では、皆さんが心の奥で抱えている「将来への不安」に正面から向き合い、どうすれば年齢を重ねても元気に、自分の足で人生を楽しみ続けられるのか、そのロードマップを描きたいと思います。
1. 誰もが恐れる「変形性脊椎症」は防げるのか?
大人になってからの側弯症で一番怖いのは、加齢に伴って骨や軟骨がすり減り、痛みや痺れが出る「変形性脊椎症(へんけいせい・せきついしょう)」への進行です。
「私の背骨、おばあちゃんになったらもっと曲がってしまうの?」
正直にお伝えすると、何もしなければ、そのリスクは高いと言わざるを得ません。 側弯症の背骨は、カーブしている部分に集中的に重力負荷がかかるため、どうしても真っ直ぐな人より早く「部品(椎間板や関節)」が消耗しやすいからです。
しかし、「何もしなければ」の話です。
逆に言えば、「メンテナンスさえしていれば、その時期を大幅に遅らせたり、症状を出さずに過ごしたりすること」は十分に可能です。
車でもそうですよね。10万キロ走った車でも、オイル交換もしない車はすぐ廃車になりますが、丁寧に整備された車はクラシックカーとして元気に走り続けます。 あなたの体も同じです。手をかければかけるほど、体は必ず応えてくれます。
2. 側弯症の方が、50代以降に意識すべき「2つの貯金」
将来の変形を防ぐために、今から積み立てておくべき「資産」が2つあります。
① 「骨貯金」(骨密度を保つ)
特に女性は、閉経後にホルモンバランスの変化で骨が脆くなりやすくなります(骨粗鬆症)。骨が弱くなると、背骨が重さに耐えきれず、圧迫骨折を起こして一気にカーブが進むことがあります。
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日光を浴びる(ビタミンD生成)
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バランスの良い食事
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適度な振動刺激(歩くこと) これらを意識して、骨という「柱」を太く保ちましょう。
② 「筋貯金」(インナーマッスル)
曲がろうとする背骨を支えられるのは、あなたの「筋肉」だけです。 ただし、ボディビルダーのようなムキムキの筋肉ではありません。背骨のすぐ近くで支える「インナーマッスル(多裂筋など)」です。 第8回で紹介した「エロンゲーション(上に伸びる動き)」や「呼吸」は、まさにこのインナーマッスルを活性化させる最高のトレーニングです。
3. 「完璧」を目指さない勇気を持つ
真面目な方ほど、「痛みをゼロにしたい」「完全に真っ直ぐに見せたい」と頑張りすぎてしまいます。 しかし、年齢を重ねるということは、誰しもあちこちにガタが来るものです。
側弯症と共に生きるコツは、「及第点(60点〜70点)」をキープすることです。
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「今日はちょっと腰が重いけど、お風呂に入ったら楽になったからOK」
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「昨日は痛かったけど、メンテナンスに行ったら動けるようになったからOK」
これくらいの「ゆるさ」を持ってください。 痛みにフォーカスしすぎず、「今日は天気がいいな」「ご飯が美味しいな」と、「できていること」「楽しいこと」に目を向ける時間を増やすこと。 実はこの心の余裕こそが、自律神経を整え、結果的に痛みを遠ざける一番の薬になります。
4. あなたは一人じゃない
「周りの人に言っても分かってもらえない」 これが側弯症患者さんの最大の孤独です。
しかし、日本国内だけでも側弯症の有病率は2〜3%と言われています。つまり、何百万人もの仲間が、あなたと同じように見えない痛みと戦い、工夫しながら生活しています。
そして、私たちのような施術家もいます。 病院で「手術適応外」と言われても、私たちは決してあなたを見放しません。 筋肉を緩め、関節を動かし、生活のアドバイスをする。そうやって伴走するパートナーがいることを、どうか忘れないでください。
おわりに:側弯症でも、人生は楽しめる
最後に、私の治療院に通われている70代の女性患者さんの言葉を紹介します。
「若い頃は、この背中が憎くて仕方なかった。でも、この背中だからこそ、健康に気を使うようになったし、自分の体を大切にするようになったわ。今では、私に『無理しちゃダメよ』と教えてくれる、愛おしい相棒だと思っているの」
彼女は今も、月一回のメンテナンスを欠かさず、趣味のダンスを楽しんでいます。
側弯症は、あなたの人生を邪魔する足枷ではありません。 丁寧に向き合えば、「誰よりも自分の体を大切にするきっかけ」をくれるギフトにもなり得ます。
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痛みの原因を知ること。
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適切なプロの手を借りること。
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日々の小さなケアを積み重ねること。
このブログで学んだ知識が、あなたのこれからの人生を、明るく、痛みのないものに変える一助となれば、これ以上の喜びはありません。
あなたの背中が、今日よりも少しだけ軽くなりますように。 そして、これからもずっと、笑顔で歩き続けられますように。
全10回、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
※ご相談はこちらからお気軽になさってください。
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