第9回:生活習慣の見直し。寝具選び、座り方、バッグの持ち方
はじめに:寝ている間に、体を壊していませんか?
「朝起きた時が、一番体が痛いです」 「寝ても疲れが取れず、背中がバキバキの状態で目が覚めます」
もしあなたがそう感じているなら、それは「寝具」か「寝方」があなたの体に合っていないという危険信号です。
私たちは人生の約3分の1を布団の中で過ごします。 60歳の方なら、実に20年間も寝ている計算になります。この膨大な時間を、背骨を休める「回復タイム」にするか、逆に歪みを助長する「破壊タイム」にしてしまうかで、側弯症の予後は大きく変わります。
今回は、巷に溢れる健康グッズ情報に惑わされず、側弯症の視点から見た「本当に体に優しい環境」の整え方をお伝えします。
1. 究極の選択:マットレスは「硬め」か「柔らかめ」か
寝具選びで最も悩むのがマットレスの硬さでしょう。 結論から言うと、側弯症の方におすすめなのは「高反発(やや硬め)で、寝返りが打ちやすいもの」です。
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× 柔らかすぎる(低反発など): 体が沈み込みすぎます。重いお尻や背中がズブズブと沈むことで、背骨のカーブが強調されてしまいます。また、沈むと寝返りが打ちにくくなり、一晩中同じ歪んだ姿勢で固まることになります。これが「朝の痛み」の最大の原因です。
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× 硬すぎる(せんべい布団など): 側弯症の方は肋骨の隆起(リブハンプ)があるため、硬い床に寝ると、出っ張った骨が当たって痛みを感じたり、そこが圧迫されて血流が悪くなったりします。
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◎ 高反発(適度な硬さ): 体が沈み込まず、かつ表面のクッション性が骨の出っ張りを優しく受け止めてくれるものがベストです。そして何より重要なのが「コロコロと楽に寝返りが打てること」。寝返りは、日中の歪みをリセットする天然の整体運動です。
2. 枕の高さは「首」ではなく「背中」で決まる
次に枕です。「オーダーメイド枕を作ったのに合わない」という話をよく聞きます。 側弯症の方の場合、首のカーブだけでなく、背中の厚みの左右差も計算に入れる必要があります。
背中が盛り上がっている側を下にして寝ると、体が不安定になりがちです。 おすすめは、高価な枕を買う前に「バスタオル枕」を試すことです。
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バスタオルを畳んで、好みの高さにします。
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首のカーブ(頚椎)の隙間を埋めるように当てます。
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ポイントは、「寝た時に、目線が真上より少しだけ下(足元)を向くくらい」の高さです。顎が上がりすぎず、引きすぎない位置を探してください。
また、横向きで寝る場合は、「抱き枕」や「足枕」(膝の間にクッションを挟む)が必須です。 上になっている腕や脚の重みが背骨にかかるのを防ぎ、ねじれを緩和してくれます。
3. 座り方:脚を組むのは「歪みの自己生産」
デスクワークの方にとって、椅子の座り方は死活問題です。
まず、「脚を組む」のは今日から卒業しましょう。 脚を組むと、骨盤が傾き、その上の背骨はバランスを取るために逆方向に曲がろうとします。つまり、側弯のカーブを自分で作っているようなものです。
【負担の少ない座り方:坐骨(ざこつ)座り】
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椅子の奥まで深く座ります。
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お尻の下に手を入れると、ゴリゴリした骨(坐骨)があります。この骨が座面に突き刺さるようなイメージで、骨盤を立てます。
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背もたれには寄りかからず、第8回でやった「エロンゲーション(頭を上に吊られる感覚)」を意識します。
長時間この姿勢を保つのは辛いので、腰にクッションや丸めたタオルを当てるのも有効です。 そして何より、「30分に1回は立ち上がる」こと。これが最強の腰痛対策です。
4. バッグの持ち方:毎日2キロのダンベルをどう持つか
通勤バッグ、どう持っていますか? 側弯症の方にとって、重い荷物は敵です。
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◎ リュックサック(最強): 両肩に均等に荷重がかかるため、最も背骨への負担が少ないです。紐は短めにして、バッグが背中に密着するように背負うのがコツです。
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△ ショルダーバッグ・トートバッグ: 片側の肩にかけるタイプは、どうしても肩の高さに左右差を生みます。使う場合は、「10分おきに左右を入れ替える」か、「たすき掛け(斜めがけ)」にして、バッグ本体をお腹の前に持ってくる(抱えるようにする)と、重心が安定します。
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× 肘にかける: 女性に多い持ち方ですが、肘から肩、首にかけての筋肉が常に緊張し、強烈な肩こりを招きます。できるだけ避けましょう。
まとめ:小さな「楽」の積み重ねが、痛みを遠ざける
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マットレスを見直して、寝返りを打ちやすくする。
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脚を組まず、骨盤を立てて座る。
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リュックサックに変えてみる。
一つ一つは小さなことですが、これらは毎日繰り返される動作です。 「チリも積もれば山となる」の言葉通り、悪い習慣が積もれば痛みになり、良い習慣が積もれば、それは体を守る鎧になります。
お金をかけなくても、意識一つで変えられることはたくさんあります。 まずは今日、「脚を組まない」「バッグを反対で持つ」ことから始めてみませんか?
次回予告:側弯症と共に、幸せに生きる
全10回にわたってお届けしてきたこのブログも、いよいよ次回で最終回です。
「側弯症になってしまった私の人生、これからどうなるんだろう?」 そんな不安を抱えるあなたへ。
最終回は、「側弯症と共に年齢を重ねるということ」。 将来の変形を防ぎ、おばあちゃん、おじいちゃんになっても自分の足で元気に歩くために。そして、この個性的な背骨と仲良く付き合っていくための心構えをお伝えして、締めくくりたいと思います。
※ご相談はこちらからお気軽になさってください。
神戸かんねん整体
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