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第5回 【慢性期への移行】動きを取り戻せ!リハビリテーションの重要性

痛みが引いたら、次は動かす番。動かない肩との戦いが始まる

急性期の激しい痛みを乗り越え、夜間痛が和らいできたら、あなたの四十肩は「慢性期(まんせいき)」、または「拘縮期(こうしゅくき)」と呼ばれる次の段階へと移行しています。

この時期は、痛みのレベルが下がる一方で、「肩が固まってしまい、以前のように動かせない」という、別の悩みが中心となります。これが、前回解説した、関節包の癒着による「拘縮(こうしゅく)」という状態です。

慢性期に最も重要なのは、この固まった肩の動き(可動域)を取り戻すためのリハビリテーション(運動療法)です。このリハビリを適切に行うことが、四十肩を早期に克服し、日常生活の質(QOL)を回復させる鍵となります。

今回は、慢性期の正しい認識と、リハビリテーションがなぜ重要なのか、そして専門家と行うリハビリの内容について詳しく解説します。

1. 慢性期(拘縮期)とは何か?その特徴を理解する

慢性期は、発症から数カ月〜1年近くに及ぶことがある、非常に重要な治療期間です。

特徴的な症状 急性期との違い
痛みの変化 安静にしているときのズキズキとした痛みや夜間痛がほとんどなくなる。動かしたときだけ痛む(運動時痛)。
動きの制限 痛みで動かせなかった急性期と違い、物理的に肩が固まってしまい動かせない
感覚 腕や肩に強い張りや、動かそうとしたときに皮膚が突っ張るような感覚を覚える。
治療目標 **「炎症を抑える」から「拘縮を改善する」**に完全にシフトする。

この時期、多くの方が痛みが引いたことで安心し、リハビリを中断したり、自己流で無理な運動を始めたりしがちですが、それは危険です。

2. リハビリテーションが不可欠な理由

「動かすと痛いから、もう少し待ってから…」とリハビリを先延ばしにすることは、拘縮をさらに強め、治療期間を長期化させる原因になります。

理由①:固まった関節包を伸長させる唯一の方法

拘縮の正体は、肩関節を包む「関節包」が硬く、縮んで癒着していることです。薬や注射は炎症や痛みを抑えることはできますが、硬くなって縮んだ組織を元に戻すことはできません。

適切な運動療法(ストレッチや関節訓練)によって、この硬くなった関節包に微細なストレッチングをかけ、弾力性としなやかさを取り戻させることが、可動域回復の唯一の方法です。

理由②:生活動作の代償を防ぐ

肩関節の動きが制限されると、私たちは無意識のうちに「代償動作(だいしょうどうさ)」を行います。例えば、腕を上げるときに肩甲骨を過剰にすくませたり、体を傾けたりして、足りない肩の動きを補おうとします。

この代償動作が習慣化すると、別の部位(首や背中)に負担がかかり、新たな痛みや肩こりを引き起こします。リハビリは、正しい関節の動きを取り戻し、代償動作の癖を修正する役割も担います。

理由③:筋力低下(廃用性萎縮)の予防

長期間肩を動かさないと、肩周りの筋肉(特にインナーマッスル)が急速に衰えてしまいます(廃用性萎縮)。筋力が低下すると、痛みが改善した後も肩が疲れやすくなったり、不安定になったりします。リハビリは、可動域訓練と並行して筋力の維持・回復も目指します。

3. 専門家と行うリハビリの内容

慢性期のリハビリは、理学療法士などの専門家の指導のもと、現在の拘縮の程度や痛みに合わせてプログラムが組まれます。自己流で無理をすると再炎症を起こしかねないため、必ず専門家の指示に従ってください。

Ⅰ. 温熱療法と疼痛管理

リハビリの前に、まずは肩の組織を温めることから始めます。

  • 目的: 温熱(ホットパック、温浴など)により血行を促進し、硬くなった腱や関節包の弾力性を高めます。これにより、その後のストレッチの効果が向上し、痛みも軽減されます。

  • 方法: リハビリ室でホットパックを使用したり、自宅で入浴時にしっかり温めたりします。

Ⅱ. 関節可動域訓練(ROM訓練)

これが慢性期リハビリのメインとなります。目的は、固まった関節を少しずつ動かして可動域を広げることです。

  1. 自動運動(じどううんどう): 自分の力だけで、痛みのない範囲で腕を動かす訓練です。無理のない範囲で、肩関節の動きを「思い出す」ために行います。

  2. 他動運動(たどううんどう): 理学療法士が患者さんの腕を支え、関節の動きを補助しながら、少しずつ限界まで動かしていく訓練です。これが、硬くなった関節包にストレッチングをかける最も重要な手技です。

  3. セルフストレッチ指導: 自宅でも安全に行えるストレッチ方法を指導してもらいます。タオルや棒などを使った補助運動(棒体操など)が効果的です。

Ⅲ. 徒手授動術(じゅどうじゅつ)

拘縮が非常に強く、通常の運動療法では改善が難しい場合に、医師や理学療法士が手で行う集中的な治療です。

  • 方法: 痛みをコントロールするために、あらかじめ麻酔注射などを用いて肩の感覚を鈍らせてから、固まった関節を一気に動かして可動域を改善させます。

  • 注意点: 専門的な手技であり、適応となる症状が限定されます。

4. リハビリを成功させるための心構え

リハビリは「痛い」と感じることもありますが、この痛みをどう捉えるかが成功の鍵です。

  1. 「少々の痛み」は必要悪と割り切る: 可動域を広げるためには、硬くなった組織を伸ばす必要があり、その際に「突っ張る」「少し痛い」という感覚は避けられません。「痛気持ちいい」と感じる程度で、無理のない範囲で継続することが大切です。

  2. 「激痛」はすぐに中断する: ズキズキとした、急性期のような激しい痛みを感じたら、それは組織が再炎症を起こしているサインかもしれません。すぐにリハビリを中断し、冷却して、次回の受診時に理学療法士に報告してください。

  3. 「継続は力なり」: 週に数回の病院でのリハビリだけでなく、自宅で毎日少しずつストレッチを行うことが、回復を早める最大の要因です。

慢性期の治療は、急性期のような劇的な痛みの改善は見られないため、焦りや不安を感じやすい時期です。しかし、この時期を乗り越えてこそ、肩はしなやかさを取り戻します。

次回は、このリハビリ期間中に、自宅で安全にできる「振り子運動」「可動域を広げるストレッチ」について、具体的な方法を詳しくご紹介します。

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